こんばんは、村松綾子です。
一般社団法人心理&福祉サポートステーション「折り紙」にて、成年後見についての講義をしてきました。
代表理事の坂本佳代子さんにもお会いしてきました(私も理事を務めています)。
法人の成年後見事業に興味のある方は、ホームページもご覧ください。緊急連絡先になることも可能です。


こんばんは、村松綾子です。
一般社団法人心理&福祉サポートステーション「折り紙」にて、成年後見についての講義をしてきました。
代表理事の坂本佳代子さんにもお会いしてきました(私も理事を務めています)。
法人の成年後見事業に興味のある方は、ホームページもご覧ください。緊急連絡先になることも可能です。
こんばんは、村松綾子です。
本日(10月16日(日))、「財産管理のための知識」「後見事務の実際」について、埼玉県社会福祉士会のぱあとなあで、社会福祉士の成年後見人養成研修受講者を対象に、zoomにて講義を行いました。
御参加・御協力いただきました皆様、ありがとうございました。
ところで皆さまは、成年後見人を務めている専門職(プロ)の多い職業をご存知でしょうか?
【成年後見人を務めている専門職】
1位 司法書士
2位 弁護士
3位 社会福祉士
となっております。
この中で、福祉分野の専門職は社会福祉士であり、成年被後見人に対する身上監護の面で、他の専門職より優れているといえるでしょう。
成年後見人を選任する裁判所も、法律の専門家であり、今までは財産管理面を重視する傾向がありましたが、最近は身上監護面を重視する傾向があると感じています(村松の私見です)。
具体的には、今までは、交通事故・遺産分割などは、法律問題がある成年後見事件は弁護士が行うことが多かったのですが、最近は、法律問題が複雑な成年後見案件も、社会福祉士に割り振られることが増えている傾向です。
その結果、社会福祉士が成年後見人を務めている案件について、弁護士に相談することが今後増えていくと思います。
ご本人のより良い支援を促すためには、弁護士・社会福祉士の専門職が連携をすることが不可欠です。
私も、今後も引き続き、弁護士会と社会福祉士会の懸け橋になれるよう、微力ながら努力していきたいです。
こんにちは。弁護士・社会福祉士・保育士の村松綾子です。
認知症や障害で判断力が衰えた人を支える成年後見制度は、今年で導入20年となりますが、
後見人の報酬額や仕事内容に関して利用者の評判が悪く、利用の伸び悩みが続いている
という記事が、昨年(2019年6月5日)の毎日新聞に掲載されました。
成年後見制度の評判が悪い理由について、私なりに考察したいと思います。
①成年後見人が自由に選べない
成年後見人は、約2割が親族、約8割が司法書士・社会福祉士・弁護士等の専門職が就任します。
そのうち、専門職の当たり外れが大きいというのが、成年後見制度への不満につながっていると思います。
たまたま成年後見人になってくれた弁護士が親切で話しやすく、面会にも頻繁に来てくれるという場合と、本人への面会が今まで1度しかないというのでは、成年後見人への家族の満足度が異なるのは当然です。
今後は、専門職の間でもサービスが均質になるような詳細なルール作りが必須だと思われます。
②成年後見制度の導入にあたって、十分に説明がなされていない
成年後見制度は、①1度始めたら辞められない、②本人の財産を守る制度なので基本的に財産の運用ができない、③裁判所に年1回財産の報告をしなければならない、などの注意点があります。
しかしながら、成年後見制度の導入を考えている方に対して、裁判所や専門職が成年後見制度の注意点の説明が不足している場合が多々あります。
そうすると、当事者の方からすると、成年後見制度をいざ始めた後に、「思っていたのと違う、でも途中でやめられない。」という不満が残ることになります。
障害者虐待・高齢者虐待などの緊急性を要する場合は別ですが、特に緊急性が高くない場合には、家族の方への丁寧な説明は必須だと思われます。
③低所得者に対する成年後見人の報酬助成の不足
成年後見制度は、基本的に月1万円~2万円程度のお金がかかります。
年金額が少ない方など、低所得の方は、自分で成年後見人の報酬を支払うことは現実的に難しいと思います。
後見人報酬などを助成する国の補助事業もありますが、実施していない自治体や、実施していたとしても生活保護受給世帯に限定する市町村や、市長申立て(市長が成年後見人の申立てをした場合)に限る自治体もまだまだたくさんあります。
今後は、自分で成年後見報酬を払うことができない方への、行政の後見人報酬助成を充実していかないと、本当に必要な方が成年後見制度を利用できないことになりかねません。
【まとめ】
以上、成年後見制度の評判が悪い理由について、述べてきました。
しかしながら、成年後見制度は本人の財産を守る制度であり、知的障害の方の親亡き後問題への備えとしてなど、成年後見制度を必要としている方もたくさんいらっしゃいます。
今後は、現状の成年後見制度の良くない点を改善しながら、上手に利用していかなければ、超高齢化社会を乗り越えられないと思います。
こんにちは。弁護士・社会福祉士の村松綾子です。
今回は、成年後見制度の最新トピックについてです。
最高裁判所が、全国の家庭裁判所に、成年後見人の報酬算定方法の見直しを求める通知書を出しました。
(参考記事:https://mainichi.jp/articles/20190323/k00/00m/040/337000c)
現在は、後見を受ける人(成年被後見人)の資産に応じた定額報酬が一般的です。しかし、今後は、実際の業務量に応じた算定に改めることがメインのようです。
最高裁判所によると、現在、報酬に全国統一の基準はなく、個々の裁判官が利用者の資産額などを考慮して決めています。
実際の後見の業務量、特に身上監護については報酬にあまり反映されていません。
(※身上監護:成年被後見人の日常生活を見守り、環境を整える行為。例えば、老人ホームの入居契約等)
正直、私の印象としても、お金のない成年被後見人ほど、いろいろなサービスを使えないので、成年後見人の業務量は多くなります。業務量が多いのに報酬が低くなるので、資産の少ない人ほど成年後見人がなかなか見つからないケースが多いです。
また、そもそも成年後見制度が必要なのに、月々の費用が捻出できないために、成年後見制度の利用を躊躇しているケースもあります。
今回の、最高裁判所による後見人の報酬方法を見直すこと自体には賛成です。しかし、成年後見制度の利用を促進するためには、お金のない人の利用を促進する仕組み(例えば、行政の報酬の援助等)もあわせて進めていく必要があります。
こんにちは。弁護士・社会福祉士の村松綾子です。
今回は、成年後見制度における専門家の役割分担についてお話していきます。
弁護士や司法書士の特徴として、法律の専門家ということで、法律には社会福祉士の方より詳しいという特徴があります(中には、社会福祉士の方でも、弁護士と同じくらい詳しいのではないかと思う方もいますが)。
しかしながら、現状の成年後見制度の実務として、身上監護がとても大変なケースについて弁護士や司法書士が成年後見人に選任されている、あるいは逆に、法律問題がかなり複雑なケースについて社会福祉士が成年後見人に選任されているケースがあります。
つまり、それぞれの専門職の特徴を活かした形で、裁判所が成年後見人を選任していないケースが散見されます。
(私自身、社会福祉士資格を取得するきっかけとして、成年後見人の任務を全うするには、介護保険制度や生活保護制度などの福祉の知識が圧倒的に不足していると自覚したことにあります。)
さらには、身上監護も大変な上(例えば、本人が在宅で、週1回は訪問に行かなければいかなければならない等)、かつ財産関係も複雑(例えば、本人のお金を横領している親族がいる等)なケースもあります。
このようなケースにおいては、弁護士・司法書士(法律の専門職)と社会福祉士(福祉の専門職)が、2名で成年後見人になった方が適切な場合もあると思います。
こんにちは。弁護士・社会福祉士の村松綾子です。
前回に続き、成年後見制度についてお話していきます。
私は、身上監護を行う能力については、社会福祉士は、他の専門職より優れていると思います。
なぜなら、弁護士・司法書士は、法律の勉強を資格取得までにするものの、福祉の勉強(具体的には介護保険等)について一切、資格取得にあたって勉強をしていないからです。
私の尊敬している独立型の社会福祉士の方は、どの施設やどこのディサービスが、成年被後見人(本人)に適しているかなどを熟知しており、地域の社会資源に本当に精通しています。
また、社会福祉士は、本人のストレングス(強み)を生かそうという発想が、他の専門職に比べて高いという特徴があると思います。
この点、弁護士・司法書士は、法律の専門家という側面から、いつも最悪の事態を想定しつつ、極端にリスクを回避する発想になりがちです。本人の弱みやリスクばかりに目が行く傾向があると思います。
(例えば、徘徊症状がある認知症の方を在宅支援することについて、その方が電車ではねられて多額の賠償請求が来ないように、できるだけ施設に入所させよう、等)
そのような中で、社会福祉士が、本人の意思を尊重して、本人のストレングスを活かすという視点で身上監護を行うことが今後もますます求められると思います。
こんにちは。弁護士・社会福祉士の村松綾子です。
今回からは、成年後見制度について、制度の紹介及び私見を述べていきます。
成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などの理由で判断能力が不十分な方を保護し、代わりに預貯金などの財産管理や身上監護をする制度です。
本人を支援する成年後見人に、親族以外の第三者が選任されたものは全体の76・8%にも及んでおり、そのうち司法書士が10512件(37・7パーセント)、弁護士が8151件(29・2パーセント)、社会福祉士が4835件(17・3パーセント)選任されています。
(最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況 平成30年1月から12月http://www.courts.go.jp/about/siryo/kouken/index.html)
先日、最高裁判所は、基本的な考え方として、後見人にふさわしい親族など身近な支援者がいる場合は、本人の利益保護の観点から親族らを後見人に選任することが望ましいと提示しています。
(参考記事:https://www.asahi.com/articles/ASM3L54SDM3LUCLV00X.html)
そもそも、大都市圏(もちろん埼玉県も含む。)では、親族関係が希薄となっていますし、子どもがいない世帯も増えています。そのような状況では、後見人にふさわしい親族がいない人も多く、親族以外の第三者が選任されるケースは今後増えると思われます。