こんにちは。弁護士・社会福祉士の村松綾子です。
今回は、成年後見制度の最新トピックについてです。
最高裁判所が、全国の家庭裁判所に、成年後見人の報酬算定方法の見直しを求める通知書を出しました。
(参考記事:https://mainichi.jp/articles/20190323/k00/00m/040/337000c)
現在は、後見を受ける人(成年被後見人)の資産に応じた定額報酬が一般的です。しかし、今後は、実際の業務量に応じた算定に改めることがメインのようです。
最高裁判所によると、現在、報酬に全国統一の基準はなく、個々の裁判官が利用者の資産額などを考慮して決めています。
実際の後見の業務量、特に身上監護については報酬にあまり反映されていません。
(※身上監護:成年被後見人の日常生活を見守り、環境を整える行為。例えば、老人ホームの入居契約等)
正直、私の印象としても、お金のない成年被後見人ほど、いろいろなサービスを使えないので、成年後見人の業務量は多くなります。業務量が多いのに報酬が低くなるので、資産の少ない人ほど成年後見人がなかなか見つからないケースが多いです。
また、そもそも成年後見制度が必要なのに、月々の費用が捻出できないために、成年後見制度の利用を躊躇しているケースもあります。
今回の、最高裁判所による後見人の報酬方法を見直すこと自体には賛成です。しかし、成年後見制度の利用を促進するためには、お金のない人の利用を促進する仕組み(例えば、行政の報酬の援助等)もあわせて進めていく必要があります。